木橋哲夫さんの「バーチャル大学院開校」(http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=2845)をもとに様々な方から意見が出ているようですので、私も少し考えてみました。
日本でも信州大の例に類する試みは、数年前からいくつか行われています。海外も含めた他大学との連携による遠隔教育や、一般市民層を対象とした通信による生涯学習の提供などです。
これらの試みは、単にインターネットを使えば便利になる云々で止まるレベルの話ではなく、その本質は大学改革にあるのではないかと考えています。
大学経営を巡る状況は厳しく、少子高齢化による学生数の減少から先々の経営基盤が危ぶまれています。そうしたなかでの生き残り策としてインターネットがツールとして導入されているわけです。
学生の絶対数はこの先もどんどん減るので、当然ながら社会人やリタイヤ層の学習の需要に応えることが目的となるわけですが、もうひとつの経営上の目的は、それと連動して大学教員を真っ当な社会的評価の外圧に晒すことでしょう。
大学改革のネックとなっているのは、既得権益にしがみつき現状維持に甘んじようとする教員であるとよくいわれますが、社会人やリタイヤ層の知的レベルや学習意欲は、総じて現在の学生よりレベルが高いでしょうから、当然評価も厳しくなります。
例えば、帝塚山大学ら5大学で99年に導入したTIESというシステムでは、教材などのコンテンツを大学間で共有できるよう整備し、さらにそれを無料で一般公開しています。
深読みかもしれませんが、これは実質的には、教科書をなぞっただけの講義を行う教員への解雇勧告とも受け取れます。教材や研究の成果などは全てオープンにして、その上でどうしても大学へ通って勉強したい者だけが行けばよいし、その需要に応えられるだけの能力を持つ教員だけが大学に残ればよいという、今後の大学のありようを示唆しているとも言えます。
大学の情報化に関して言えば、ひと昔前はパソコンをたくさん並べて情報○○学部などというのをつくれば学生を集めることができたのが、現在はその段階からもう一歩踏み出して、大学開放による質の向上と評価競争の段階に入りつつあるといえるのではないかと思います。
| 岩井裕介 |
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