2012年8月22日水曜日

著作権、言論の価値って、何だろう?

これまであまり考えたこともなかったが、
言論に対する著作権って、いったい何なのだろうか。
書物ならまだしもネット上の言論に対する著作権って、どうなんだろうか。

今や古い観念は全く役に立たない、それどころか社会閉塞に導いた張本人。
現在は、新しい観念・認識をみんなで議論して作りだしていく時代。
しかも塗り重ねていく必要があるので、それにはネットが最も適している。
ネット上の言論における著作権は、ネット上の議論~共認形成を阻害することはないのだろうか。

そんなことを思いながら、
以前読んだ内田樹氏の「街場のメディア論」を思い出した。
ネットを検索して、書評を中心にあちこちから拾った文章を紹介します。

「著作物それ自体に価値があるわけではなく、受け取った者の役に立ってはじめて価値が発生する」、「ネットに公開するのは、自分と同じように思ってくれる人を増やしたいから」という氏の意見は、至極まっとうな考えのように思えるが、いかがだろうか。

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私は10年前から「ネット上に公開した情報は公共物」という方針を貫いている。コピーフリー、盗用フリーである。
繰り返し言うように、私がネット上に公開したテクストは、どなたがどのような仕方で使われてもご自由である。私の書いたことをそのまま「自分の書いたもの」だと主張して、単行本にされても構わない。
私は「私のような考え方をする人」を一人でも増やしたくてネットを利用しているわけであるから、私の意見を「まるで自分の意見のようである」と思ってくれる人がいることは歓迎しこそすれ、非難するいわれはない。
私が書いていないことを「ウチダタツル」という名前で勝手に発表されるのは困るが、私が書いていることを別人の名前で発表することについては「どうぞご自由に」である。ほんとに。
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書物が商品という仮象をまとって市場を行き来するのは、そうした方がそうしないよりテクストのクオリティが上がり、書く人、読む人双方にとっての利益が増大する確率が高いからです。それだけの理由です。書物が本来的に商品だからではありません。商品であるかのように流通したほうが、そうでないよりも「いいこと」が多いから、商品であるかのような仮象を呈しているにすぎません。
ということは、もし、書物がもっぱら商品的にのみ流通することで、「いいこと」が損なわれ、「よくないこと」が起きるなら、商品としての仮象を棄てるという選択肢は当然検討されてよい。僕はそう思います。
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僕が言いたかったことは、人間たちの世界を成立させているのは、「ありがとう」という言葉を発する人間が存在するという原事実です。価値の生成はそれよりも前には遡ることができません。「ありがとう」という贈与に対する返礼の言葉、それだけが品物の価値を創造するのです。
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著作権というものはたしかに価値あるものですが、それに価値を賦与するのは読者や聴衆や観客の方です。紙やCDや電磁パルスやフィルムそのものに価値が内在するわけではありません。
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著作権についての議論には、その点についての倒錯があるように思われるのです。「著作物それ自体に価値が内在している」というのが著作権保護論者たちの採用している根本命題です。読者がいようといまいとそれには価値がある。だからこそ、それを受け取った者は(その価値を認めようと認めまいと)遅滞なく満額の代価を支払う義務がある。このようなロジックを掲げる人は、「贈与を受けた」と名乗る人の出現によってはじめて価値は生成するという根源的事実を見落としています。
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というのは、本を書くというのは本質的には「贈与」だと僕が思っているからです。読者に対する贈り物である、と。
そして、あらゆる贈り物がそうであるように、それを受け取って「ありがとう」と言う人が出てくるまで、それにどれだけの価値があるかは誰にもわからない。その書きものを自分宛の「贈り物」だと思いなす人が出現してきて、「ありがとう」という言葉が口にされて、そのときはじめて、その作品には「価値」が先行的に内在していたという物語が出来上がる。その作品から恩恵を被ったと自己申告する人が出てきてはじめて、その作品には浴するに値するだけの「恩恵」が含まれていたということが事実になる。はじめから作品に価値があったわけではないのです。
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ET

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